スタンド使いはスタンド使いと惹かれあう

学校の帰り道、猫が沢山いたのでかわいいなぁと一人にやけながら見ていた。そこにおじさんがやってきて餌を与えていた。とりあえず目礼して立ち去ろうとすると、おじさんが話し掛けてきた。はじめは猫や小鳥たちの可愛らしさを、そして自分がもうすぐいなくなるから残された猫のことが心配だ・・・と話すおじさん。私は早く立ち去りたいのを隠しつつ、笑顔で適度に応答。すると、いきなり「君はメモ帖を持っているか?」と聞かれた。いきなりのことでよくわからず聞き返すと、「メモ帖だよ。家に沢山あるからひとつあげよう。持っていきなさい」といわれる。咄嗟のことに驚きつつも、「お気遣いありがとうございます。お気持ちだけ頂いておきますね」という言葉がポロリと出てきた。やっててよかった秘書検定。日常会話でこんなの使う場面なんてねーよ!と思っていたが、意外とあるものである。そして、おじさんは渡すことを諦めるが、メモ帖に関する話を熱く語ってくる。要点をまとめると、「昔おじさんは喧嘩をしていた男の子たち(母親不在)の喧嘩を収めるためにメモ帖を渡し、楽しいお絵かきができた二人は大満足で喧嘩をしなくなった」ということらしい。途切れ途切れ聞こえない個所があったのだが、その子供たちは痣があったりして微妙に虐待を受けていたようだ。その話にどう対応すればいよいのかわからず黙っていたら、おじさんにこういわれた。「君は悩みはないかい?僕が聞いてやろう!」と・・・・・・。もう駄目だ。逃げたい。おじさんに、今の一番の悩みはあなたから逃げることですとは告げられず、時計を見やり、「すいません、失礼します」と言って逃げた。にこやかに逃げた。小走りで逃げた。おじさんは追ってこなかった。でも通学路なので絶対にまた出会う。そのときはダッシュで逃げよう・・・!と心に誓った。