嫁ではない

20年住んでいる土地を離れるというのはいささか寂しいことであるなぁと、しんみりしながら普段は歩かない場所まで犬を連れて散歩に行った。しばらく歩いていると、70代くらいのおばあちゃんが近寄って来て私に何か話し掛けてきた。勿論、面識はない。「こんにちは」と他人行儀な挨拶してもおばあちゃんはひたすら私の知らないようなことを話し掛けてくる。「アキコさん家の犬はいい犬だねぇ」・・・・・や、アキコじゃないんですが。「ええと、何処の方ですか?」と聞いてようやく私がアキコさんじゃないことが分かったらしいが話は尚続く。「何処からきたんだい?」「○○のたまごや(うちの祖父はニワトリを育て、卵を出荷していた)です」と答えたら「あそこの嫁さんか〜」・・・・・・ええと、まだ未婚ですけど何か?まさか、この腹か。腹の肉が妊婦に見えましたか。この腹の中には脂肪しかつまっとらんのじゃぁ!!!と心の奥底でキレかかる私。しかし、おばあさんはそんなことはお構いなしに、近くで自殺があったらしいことや、それが東京からきた女性だったことなどを話してくれた。ほぅほぅとうなづきながら聞いていると「こんなの新聞には載らないからねぇ」とちょっと自慢気。さすがに主婦というものは井戸端会議が上手なのであるなぁと思いながら帰宅。その後、腹筋を鍛えるべくヨガの本を見た。もう嫁とは言わせない・・・!いや、嫁になりたくない訳ではないけれども。