山形旅行

前日から母親から言われていたのだが、やはり朝4時起床はありえないと思う。しかも、楽しみすぎて2時まで眠れなかった自分が憎い。眠い目をこすりながら仕度をして、早々にバスの中で眠ってしまった。けれどバスの中は狭く、あまり寝つきがいい方じゃないので、浅い睡眠を繰り返した。



窓から見える景色が、どんどん山深くなっていく。緑の渦に紛れ込んだような気持ちになる。そして案外、日本にも自然が残っているなと思った。天気予報では晴れマークが並び、私の服装は半そでのTシャツにジーパンというラフな格好だった。クーラーが効きすぎていて肌寒い気もしなくも無い。外を見るとほのかに雨が降っている。雨具の心配はしなくていいと断言したので、母親が恨みがましい声を出す。天気予報が悪いのに。しかし、目的地に近づくにつれて晴れ間が見えてきた。バスは勢い良く他の車を追い抜かしていく。目的地までひとっ飛びとはいかないが、予定時間よりも早くつきそうだ。地元から山形までは車で5時間。距離は500キロほどだという。最初の目的についたのはお昼の1時頃。さくらんぼが鈴なりで目にも鮮やかだ。手ずからむしり取るという作業はいつだって楽しい。食べ放題なので60個ほど食べた。胃の中にさくらんぼが詰め込まれている感覚。3年分くらい食べたように思う。そして、次の目的地までバスは高速道路を加速していく。次に向かったのは、上杉謙信を祭ったお寺。お昼とはいえないような時間であったが、米沢牛のしゃぶしゃぶを堪能する。途中、味噌汁をこぼすというアクシデントに見舞われるが、枝豆のジェラードを食べたのでよしとする。実に美味しかった。上杉謙信といえば、「なせば成る 為さねば成らぬ何事も 成らぬは人の為さぬなりけり」だ。「新春シャンソンショー」とはいまだ口が廻らない私であるが、ちょっとした早口言葉のようで声に出して読むのが楽しい。お土産を購入して、足早に次の目的地へ移動する。ついた先はワイン工場。満員の店内でワインの試飲をする。辛口より甘口。赤より白が好きな私としては、「まほろばの貴婦人」というワインに首っ丈。まぁまぁのお値段ですが、さくらんぼワインのハーフサイズなどと合わせて購入。しめて5000円なり。ワインを飲んでほろ酔い気分になりながらも、バスは地元を目指して疾走する。道に詳しくない運転手さんなので遠回りばかりをしてイライラした。添乗員さんも覇気がなく、途中の休憩で人数がそろわないまま出発したり、道に迷ったりと今まで出一番ハラハラさせる旅行だった。結局、実家に帰ったのは夜の10時で、眠気もピークに達していた。遅い夕飯を食べてすぐに就寝。おやすみなさい。明日から日常がまた始まる。